昨今、お客様の安全・安心とおいしさへのご要望に加えて、「より健康に良いものを選びたい」とのご要望が高まってきています。当社のコーポレートメッセージである「おいしく・たのしく・すこやかに」の「すこやか」の研究を担うのが稲垣の所属する研究チームです。近年は研究員の数も増えて、取り扱う素材や健康機能の範囲もどんどん広がってきています。
実は、森永製菓はすでに25年にもわたってココアを中心としたカカオ豆の健康機能への作用を研究しているんですよ。稲垣をはじめとする研究員は、企業の研究所だけではなく、大学の先生方のご指導により科学的に公平・公正な判断ができるように努めています。そして、研究の成果を学術論文、学会発表、学術講演会などで広く公表しています。
今日は、森永のココアをより魅力的に感じていただける情報をご紹介したいと思います。おっと、理科や科学はちょっと…という方も最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは、稲垣に交代します!
みなさん、はじめまして。ココアの健康への作用を研究している稲垣です。
早速ですが、みなさんはココアを思い浮かべたときに、どのような健康機能を連想されますか?また機能にはどんな成分が関わっているのかご存じでしょうか?
■カカオリグニンによる腸活■
食物繊維は、野菜や穀物などからも摂取できますが、日常の食生活の中でかなり意識していないと十分な食物繊維を摂取できないのが現状かと思います。また是非知っていただきたいのが「リグニン」という成分です。野菜などに含まれる食物繊維と違い、カカオに含まれる食物繊維の「リグニン」にはある特徴があります。
私たちが普段の食生活で食物繊維として最も多く摂取するのはセルロース(ヘミセルロース)という成分ですが、これは炭水化物で構成されているため分解して見ると糖がたくさんつながったものになります。この他に、デキストリンやグルカンと呼ばれる食物繊維も同様に構成するのは糖が中心です。一方、ココアに含まれる「リグニン」は、消化されにくい繊維成分が特に多く含まれています。これはポリフェノールがたくさんつながったもので出来ていて、野菜やきのこなどの食物繊維と大きく異なります。
私たちの身の回りでこのリグニンが豊富に含まれていて、かつ実際に食品としておいしく食べることができるのは実はココアだけなんです。チョコレートにも含まれていますが、ココアと同じ食物繊維量を食べるのはとても大変!ココアがおなかの調子を整え、便のいやなにおいを低減することが学術論文で報告されています。カカオのリグニンが、他の食物繊維とは違った独特なものであることはご理解いただけましたでしょうか。
■末梢の血流を改善し手先表面を温かく保つ■
手先の冷えの改善に関する研究テーマは、20年近くコツコツと研究に取り組んできた、私たち森永製菓の研究の成果です。
もともとココアには、飲むと「からだが温まる」、「手足の冷えがやわらぐ」などの経験談がありました。しかしこれまでは科学的な検証や客観的な裏付けが十分とは言えませんでした。そこで、医師のご指導のもと、一般のボランティアの方にご協力いただき24名の方に「カカオの力」と「カカオの力の風味をつけ、栄養成分を同じに調製したココア風味飲料(プラセボと言います)」を同じ条件で日を変えて飲んでいただきました。この時の指先の血流の変化をレーザー光線で測定し、手の表面温度の変化を可視化できる特殊な赤外線カメラで撮影し比較しました。その結果、ココア飲用時は40-60分程度たっても血流と皮膚温度が高く維持されることがわかりました。体感も調査したところ、ココア飲用時にはプラセボ飲用時に比べて「指先の冷え」の感覚が明らかに軽減されていました。
「カカオの力」のパッケージをご覧になったら、製品にはご紹介した研究開発のエピソードがあったことを思い出してみてください。私は店頭で商品を選ぶときに研究者目線で研究の裏付けがある商品なのか気にかけています。こうすると自分なりに商品を選ぶ視点が増え、自分への納得感も得られるので楽しいですね。私たちの仕事はお客様と直接触れ合う機会や、ご意見をうかがう機会が少ないので、ぜひ今回のブログの感想やココアを飲んで体感した事などもコメント欄にお寄せください。