エンゼルブログ
2020/03/03

【謎とき!開発バラエティ】

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マーケティング部のヒロセです。
前回、「TOKYO PEANUT MANIA」はテスト販売の好調を受け本商品化を目指すことになった。一方で「開発研究員・鈴木みく」が産休→戦線離脱。それをフォローすべく各部からメンバーが集結。しかし、鈴木が残した「全く以て実現不可能そうな構想・企画書」を目の当たりにし全員が言葉を失った、、、ところまでお話させて頂きました。
18年度春のことでした。


◆ルール確認
 この時点で「会社」からの指示は以下でした。
  ・本発売を目指す
   →継続展開のための「作れる、売れる、利益が出る」仕組み作りを課せられる
  ・本発売までテスト販売~小規模販売を継続する
 大きくはこの2点でした。
 
◆製造祭り?
 テスト販売の製造は、いわゆる「試作」の延長で行っていました。
・研究所で
・試作品を作る設備で
・研究員が手作業
 
 平たく言うと、1回に10人分くらいの試作品を作る機械で、テスト販売用に500個くらいを作っていました。この時点でかなり設備、人手とも無茶なのですが、販売継続にあたり数千個を作り続ける、という状況へ。そんなメーターがあれば「無茶」を突き抜け「無理」を示したと思います。
 
 (面白いもので?)、「黒幕・解良(ケラ)」みたいな「変な人間」のもとには変わった人たちが集まるのでしょう。何人もの研究員が集結し、再度開発しなおし、連続製造を開始することとなりました。


 「無茶な製造」のエピソードを1つだけ。
 ケラ&ヒロセ打ち合わせ中、鳴るケラのスマホ。「電話に出てください」と促すワタシ。で、5分くらい?特に興奮するでもなく淡々と話し込んだケラが電話を切る、、、
 
ワタシ「何かありました?」
ケラ 「製造中のマツイさんからの電話なんですけど、設備が爆発したそうです」
ワタシ「はい?」
ケラ 「シリンダーが破裂して、試作場一帯が白煙で埋まってるらしいです」
 
 、、、、、、、、、、、、、
 
ここのポイントはケラの言い方。
「シリンダー破裂」「部屋に充満する白煙」をホントに「涼しい顔」「穏やかな口調」で言うわけですよ!
例えれば「あーひまだなぁ~」とため息をつくテンションで、、、
 
 ケガ人はいなかったようなので、そういうのも含め「穏やか」「ため息感覚」だったのかもしれませんが、、、シリンダーって金属製の筒ですよ!?
 
で、後日、「ほんとに大丈夫だった?」と聞いた時のマツイ、
「大丈夫っす!全然大丈夫っすよ~♪ららら~」
 ですって!
 (>_<)
 
「♪ららら~」は嘘ですが(苦笑)。そんな楽しげテンションでした、、、
 
何だったのでしょうか?「シリンダー大爆発」「白煙」、、、
「全員集合!なオチ」みたいな感じだったと理解することにしました、、、
 
この人たち、ちょっとおかしい、、、
「だめだこりゃ」
 
◆開発同好会?
 製造継続は何とか目途がたった(としましょうw)。
 問題は「原価が下がらず、赤字が必至」問題。
 
 で、再起のための打ち合わせに集まったメンバー、
 ・研究所)ケラ、ヤマグチ、マツイ
 ・設計)ミドリカワ
 ・生産・設備周り)ナカガワ


そしてこの困難を打ち破るべく颯爽と新たな方向感を打ち出すワタシ(ニヤリ)
 
「形態違いで製品数を増やしましょう。材料費が下がらない、ボトルに詰めるのが機械化できない、だからボトルだと原価が下がらず大幅赤字。ならば、材料費下げられる、製造作業効率のいい形態でアイテム追加。ボトルは赤字にならないレベルまで規格見直し。それで!」
 
 この時点で、エンゼルPLUSのおやつサミットや店頭試食で何人もの方々のご意見を頂いていたケラ、ヤマグチ、マツイが続く、、、
 
 「お菓子の面白さを評価頂いてることから、ボトルをやめても問題ないです」
「粒数も少量でいい」
「お土産にまとまったものが欲しいという声もあり」
 「大きい箱と小さい箱だといいのでは?」
 
これらに対し、設計・ミドリカワ登場。
 
ミドリ 「箱なら原価は下がるし、通常取引してる会社から買える。小箱タイプなら機械で詰められるし、大きい箱もいくつかの粒を小さい袋にいれてから大きい箱に入れるなら一定レベルまで機械対応できる、作業費も下がるはず」
 
 よっ!さすが!
 さらに、返す刀で、、、
ミドリ 「箱は薄いダンボール材質、しかもキレイに印刷もできるものがありそれを使えば、それなりに原価も下がる」
 
 キター!Mr.知恵袋!「ついに見参」みたいなっ!!!
 
ワタシ「んじゃ、それで。割れやすい・機械で作れない品質については、「さくっ、ほろっ、とろ~り。つまめるピーナッツバター」を維持することを前提に、機械化適正を考慮した品質変更は研究所とナカガワさんに任せる、よしなに!」
 
そんなこんなで「トータルで材料費、作業費を下げる」を決行すべく出来たのが以下。

菓子粒の品質は結局そのまま。機械化適正を考慮し、いろんなパターンが出てきましたが全部却下させて頂きました。
 本製品の完全オリジナル食感「さくっ、ほろっ、とろ~り」食感変化の再現度が低く却下したわけですが、そもそもヤマグチ、マツイが「こんな感じでどうでしょう?、、、ダメですよね」って感じで試作品を持ってきてたので本人たちも思ったモノができないことに忸怩たる思いだったのでしょう。それに対しワタシも満面の笑みで「これじゃダメだよねぇ~製品、変わってしまってるし、わっはっはー」な感じで優しくダメ出ししときました。
 というか、何種類、試作品持ってくるんですか!原料は、ほぼピーナッツバターのみの本製品、何種類も食べて胸焼けする日々でした、、、
 菓子の粒のコストダウンが見えない中、ボトルはどうしても原価が下がる目途が立たず、やむなく値上を決行することにしました。
 
◆第3次テスト販売
 そこで、形状違いと値上げの受入性確認、それに加え、当時既に継続的にお求め頂いていたお客様へ値上の説明をすべく、第3次テスト販売を決行することに。
 2018年7~9月に実施。
 
その間「前々から高いと思ってたけど、さりげなく値上してきた!」という声も実際に頂きました。直接お話頂いた方には嘘偽りなくお話させて頂きました。何の解決にもならないですが「原価下がらない→完全に我々の計画ミス。力不足」。
この時、私から研究員各位に依頼したことはこの1点。「店頭では販売しなくていい。形態変えたこと、値段を上げざるを得なかった事情を真摯にお客様にお伝えし、ご理解頂く、それに全力を尽くすこと」。
 この感じ、どうも研究所にはなかなか伝わらないようで「研究員が販売協力しなくちゃいけないのか?」みたいな発言は、当時も、正直、今もあります。(主に本企画に直接関係してない人からですが)私は「販売してきて」とは言っておらず「お客様に説明しご意見を頂くよう」にお願いしてるだけなんですけどね。
 実は、このころ、「サンクコスト」「損切り」の視点、つまりは「企画を進める/止めるポイント」の見極めが私の第一の仕事だったと思っていました。「研究所が販売応援?」のアンチの声がもうちょっとでも多ければ「企画を止める気でいました」。ですが、決め手に欠けていた、というか、可能性がゼロにならないように、各メンバーが踏ん張っていたので、いろんな社内逆風に対し説明、お願いしていたのが当時のワタシの主業務。製品のことはよく解ってない(笑)
余談でした。
 
 そんな私の気苦労を余所に「売れました~」と満足そうに嬉しそうに店頭から帰ってくる研究員たち、、、それらに対する私の第一声が「それは良かった、で値上は理解して頂けた?」だったことを覚えている研究員が何人いるかは、さぁどうでしょう?(笑)、
 
◆第4次テスト発売、、、
 2018年10月、第3次テスト販売の上首尾を以て12月に本商品化会議を計画。
その打ち合わせを開催、、、
 
ナカガワ 「委託を受けてくれる工場が確定していません」
ワタシ 「?????」
ナカガワ 「日本中で探したのですが、ピーナッツ原料(アレルギー特定原料)を扱ってくれて、製造体制が整っているところが見つかっていません」
ワタシ 「本商品化を目指す話をしてから1年くらいたってますが、、、」
ナカガワ 「そして箱。まず粒を5粒まとめて機械で袋に入れるのが無理です。機械で扱うとおそらく割れます。あとダンボール材質の箱、硬いので板状から箱に組むのにかなり時間が掛かかる。結局、手作業が増えることで、更に原価があがります」
ミドリ 「5粒を袋に入れるの無理?「おそらく」ってテストしてみればいいじゃん?」
ナカガワ 「ピーナッツ原料を使っているのでテストしてくれるところが無いです」
ワタシ 「ということは、原価低めになることを狙った箱タイプはダメってこと?」
ヤマグチ 「お土産タイプの箱、かなり評判が良かったですよね、、、」
全員 「・・・・・・・」(しばし沈黙)
 
ケラ 「お土産で買ってくれるかたの中には小袋で配るのではなく、小箱で配る、という方も多くいました。なので、大箱に拘らなくていいかも」
ワタシ 「・・・・・んじゃ、それで。ボトルと小箱の2品での本発売ベースで再計画。ボトルタイプは更に規格・原価見直し。大箱タイプは終売、継続検討はミドリカワさん預かり。以上」
 
 大箱タイプの評判がかなり良く、小さい売場面積で販売価格があがる(売場効率が良い)ということでお得意様からの評価も高かったので外すのは苦渋の選択でしたが、やむなし。
 
 結局、12月の本商品化会議は「2品で4度めのテスト発売をする」会議に差し換えました。
※このテストの前あたりから、営業部から「東京の土産専用品としてやりたい」話をもらっており、また開発者・鈴木の「東京でやりたい」や「大量製造ラインは難しい」見込とも合致していたので、東京限定、土産品の方向での発売を決めていました。
 
更に、高原価のボトル形状。「とっととやめろ」という周囲の声もありましたが、もともと鈴木のアイデア「ピーナッツバターのお菓子だからピーナッツバターのボトルに入れる」から始まっていたので止める判断は最後までしない、と決めていました。
 
 この第4次テスト販売が実に微妙な結果に。品質は引き続き高評価を得ていたのですが「低単価の小箱ばかりが売れて売上金額が稼げない」というお取引先様からのご意見が、、、
東京土産の販売ルートに(ほぼ)新規参入する当社としてはお取引先様のご支持を頂けないことには展開拠点が確保できないのです、、、これが2019年6月。


◆この間、、、
2018年10月~2019年6月にあったこと。
まぁ、研究開発関係でクレームは来ました、さすがに。
 
「いつまで研究員を製造に拘束するのか、そろそろ他の開発に力を回せるようにしてほしい」。
 
知るか!というか、なぜ、それを私に言う?「森永新研究所」「東京ピーナッツマニア」は「研究所が自分たちでやる」と決めた企画。止める権利は基本的に私に無いのでね。
 
という話を「物凄く丁寧かつジェントルに当たり障りなくご説明申し上げ候」な対応をしておりました(苦笑)
 
ただ関係メンバーの何人かには現実に言ってました。特に原価下がらない、作れないという現実的難問に直接対応してるメンバーには。
「無理なら手を上げてほしい。この企画、止めるので。無理なことをやり続けても得する人はいない。早い方がいい。勝手に無理を抱えるな、というか、そんな恰好をつけられても困る。社内以外に期待し続けてくれるお客様も含め」
って。ですが、せっかくワタシがカッコいいコトを言っても、誰も手を挙げない(笑)
 
特に、ナカガワ。
「最近の新商品でここまでお客様に評価頂けてるのは無いので、絶対やりましょう!やりますよ!」
 
って「何、その熱気?」って、思いません?
 
だったら、
「機械で袋に入りません」って半年以上前に決めた時には解ってたろうが!その時点で言えよ!
 
というのが多くの普通の人の反応かと。すみません、それはワタシの説明不足。もうちょい説明しますと、当時の社内評価の大半は、、、
 
「ちょっとお客様にウケてるとは言え、結局、赤字が出続ける、研究員が好きで始めた「サークル活動」でしょ」(半笑)
 
でした。
「森永新研究所=研究員が好きなものを自分たちで好きなように作る」、確かに「同好会」ノリなフレーズですし(苦笑)。
ナカガワもそんな感じだったと推測。ですが「試作品を作りまくる」「機械が壊れるまで作りまくる」「店頭に立ちまくる」ヤマグチ、マツイ、他研究所メンバーを見て、またお客様の反応を見ているうちに徐々に彼も感化されたのでしょう。
 
 
◆まとめ
鈴木の残した企画書、製品という名の「謎」。
少しずつ集まっていくメンバーたちが「結局変えていいとこ、変えれるとこはどこ?」と悪戦苦闘し、規格変更~テスト販売を繰り返していました。今回は、そんなこんなの本商品化前夜の話でした。
今回はこの辺で。
次回、最終回。引き続きお付き合い頂けますと幸いです。
 
◆業務連絡
「運命?マツシマ登場」「カワイイ対決!ミドリカワ奮闘?」(ともに仮題)、お二人のエピソードは次回に持ち越します。
 

第1回目のレポートはこちら>>>
第2回目のレポートはこちら>>>
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