エンゼルブログ
2024/09/26

歴史の玉手箱~ 第10回~チョコレート
日本のチョコレート製造のパイオニア

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エンゼルファミリーのみなさん、こんにちは、KAZUYOです。
新作チョコレートが沢山登場する季節になりましたね。私は、この秋の新作だと「香るダース」が好きです。

さて、森永製菓が1899年の創業当初からチョコレートを製造しているのはご存知でしょうか?そして、1918年、日本で初めてカカオ豆からチョコレートを作る一貫製造を始めたのも森永製菓なんですよ。

今回は、その森永製菓のチョコレートのはじまりについて紹介したいと思います。


■創業時からチョコレートを製造
森永製菓の開店用引札(チラシ)を見ると「チョコレートクリーム」が記載されています。1900年頃の森永商店の看板や店舗の壁にも「CHOCOLATES」とあります。これが外国人の目に留まり、購入のきっかけになったそうです。
ちなみに、この「チョコレートクリーム」はシュガークリームの上にチョコレートを薄く覆ったもので、1901年には宮内庁御料として納入され、1903年の第5回内国勧業博覧会で三等賞を受賞しました。

そして、1909年には日本で初めて板チョコレートを製造し、販売を開始しました。

 
      
 ▲左:1902年に撮影された森永商店。壁の両脇には手書きの英文
右:1905年の新聞広告に見る主要商品

■多くの人に本物のおいしさを届けて、心と体の健康に貢献したい
当時の日本では、チョコレート製品は、全て輸入した原料チョコレートを加工して製造されていました。
カカオ豆からの一貫製造には、近代的な数多くの機械設備が必要で、そのための巨額の投資と高度な技術が要求されたからです。しかし、創業者・森永太一郎は1915年の渡米でアメリカのチョコレート工業の発展と消費量の多さを目の当たりにしたこと、日本でもチョコレートへの関心が集まり始めていたことから、チョコレートの一貫製造への挑戦を決意します。

そして、1918年に現在の田町駅前(港区芝)にあった東京第一工場(芝田町工場)内にチョコレートの一貫製造ライン設備の建設を開始します。製造機械を購入し、技術指導のために製造技師のオスカー・グランランドを招聘しました。

同年8月27日、ついに日本で初めて原料カカオ豆からのチョコレートの一貫製造に成功し、原料用ビターチョコレート(100ポンド缶入)が誕生。輸入品の原料チョコレートより4割も安い価格で発売したのです。
さらに、10月1日には、一般向けの「森永ミルクチョコレート」(1枚15銭)が発売されました。これが日本でのチョコレート大量生産のはじまりです。1919年8月1日にはカカオプレスの導入によって日本初の飲料用ココア「ミルクココア」(30匁缶45銭)が誕生します。

1918年の新聞広告①には「弊社が製造に着手するは国民保健上の一貢献として弊社当然の責務なりと信ずる」「品質を本位として彼の舶来品に比し新鮮にてもっとも廉価なる者を江湖※に薦面とす(※民間、世間一般の意)」とあります。

 
 ▲1918年ミルクチョコレート発売時の電車広告
 
 ▲1918年発売のミルクチョコレートは銀のラベル。翌年金に。
 
 ▲芝田町工場のチョコレートライン・コンチ室の様子

■おいしさや栄養の訴求でチョコレート市場を育成
1個5厘前後だった大福や最中に比べれば、チョコレートは高級なお菓子でした。また、苦くて食べられないという厳しい声も多数ありました。そこで、味の研究やさまざまな新製品の開発、チョコレートによる栄養摂取の必要性を訴求する広告宣伝などを積極的に展開しました。このように森永製菓は市場を育成し、チョコレートの大衆化を実現に尽力したのです。

 
 ▲1918年 ポスター
 
 
 ▲1919年の看板。「森永5品」と称した当時の主要商品をデザイン
 
 ▲1918年新聞広告①
チョコレートを認知してもらうために栄養や歴史などさまざまな情報を記載
 
 ▲1919年新聞広告「完全なる食料」
独特の美味を感ずるのみならず身心忽ち慰安を得て愛好ますます加はるべし
 
 ▲1932年頃の社員向けチョコレート解説書。冒頭に「諸君はパンフレットを熟読し体得し時代の流れに先駆して広大無限なるチョコレート未踏地の開拓に鋭意努力せられん事を希望すると同時に森永チョコレートの最高点を深く消費大衆に植付けるべく不動の信念を培う事に専念して貰いたいのであります」とあります。当時の社員の熱い思いを感じます。
 
 ▲当社に保管されているチョコレート。
上/スイートチョコレート(1919年)、左上/ピーナッツチョコレート(1921年)、左下フィンガーチョコレート(1917年)、右上の2つ/シガレットチョコレート(1922年)、右下/バニラチョコレート


その後、さまざまなチョコレートが登場しました。「パラマウントチョコレート」「ソフトチョコレート」「ポール」「ハイクラウン」「エール」「to you」「ドーナッチョ」「スプーナ」「ソリッド」・・・。皆さんの思い出に残っているチョコレートはありますか?

1918年に誕生した「森永ミルクチョコレート」は製造を終了しましたが、その技術は「カレ・ド・ショコラ」や「ダース」に引き継がれています。
これからも、チョコレートで皆さんに笑顔をお届けしていきたいです。

次回は、11月のココアの日にちなんで、「ココア」について紹介します。お楽しみに!
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