森永製菓では1983年に、すこやかな心と体づくりのための商品やノウハウを提供することを目的に健康事業部(当時)を立ち上げました。
1992年には、アスリート向けの栄養補助飲料として「ウイダーinドリンク」をテスト発売します。しかし、現場のアスリートからは、
「缶飲料は途中で止められない」
「一気に飲むとお腹に水分がたまる」
「何か食べたという実感や満足感がほしい」
といった声が数多く寄せられました。
「確実に栄養を補給しながら、すぐに次の動きに移れるもの」。そのニーズに、従来の商品形態では十分に応えきれていなかったのです。

開発の転機となったのは、「トレーニング中でも簡単に摂取でき、すぐに動けるものがほしい」「バナナと牛乳を一度に摂れるようなものがほしい」という、アスリートの率直な声でした。そこで着目したのが、森永製菓が技術として培ってきた「飲むゼリー」です。
ゼリー状にすることで、液体飲料に比べてこぼれにくく、噛むことで「食べた」という実感や腹持ちも得られます。さらに、飲むゼリーの技術とスパウト付きパウチ容器を組み合わせることで、握りしめて押し出しながら摂取するという、それまでに例のなかった食体験を実現できると考えました。

こうして1994年、「inゼリー」は発売されました。しかし、これまでにないカテゴリーの商品のため「どの売り場に置く商品なのか分からない」という反応が多く、まさに“正体不明”の商品としての出発でした。それでも、スポーツルートを起点に販売を開始し、商品の価値を伝えるための地道な取り組みを重ねながら、少しずつ販路を拡大していきます。1996年には、量販店やコンビニエンスストアなど、すべての販売チャネルでの展開が始まりました。

転機となったのは、「10秒でとれる、朝ごはん」というコピーでのTVCM展開です。忙しくて時間がない、食欲がわかない、食べたいけれど食べられない――
そうした人が朝の時間帯に多く存在することに着目し、スポーツシーンに限らない、日常生活への提案へと広げました。この取り組みは大きな反響を呼び、一時は製造が追いつかないほどの需要となります。その後、停滞感があったものの、1999年には朝ごはんにとどまらない「積極的つなぎ食」であることを「10秒チャージ、2時間キープ。」というコピーで訴求したことで売り上げは大きくジャンプ。「inゼリー」は、“正体不明”の存在から、生活の中で選ばれる食品へと成長していきました。

味や栄養設計、食感の調整、キャップやストローの改良など、お客様の使いやすさを追求した改良が重ねられてきました。エネルギー、ビタミン、プロテインなど、目的やシーンに応じたラインアップを展開しながら、inゼリーは新しい食の分野を切り拓いてきました。